世界はエロでできている

世の中には2種類の人間しかいない。エロい人間と、エロいことを自覚していない人間だ。

住宅のリフォームは良いことばかりなのだろうか

 世はリフォームブームである。

  

 テレビを見ていると高齢の親のためにその息子世代が住宅をリフォームする、というのを割とよく見かける。リフォームする理由は、動線が不便であったり、床にモノがたくさん置かれていて危なかったり、段差が多かったり、というのがその理由である。

  

 そのため、リフォームの完成形は最短距離の移動で済む動線、収納を工夫して床にモノがない、段差をなくしてバリアフリー化、を実現したものになる。

 

 たしかに、リフォーム後には移動距離が短くなることで高齢の親の体への負担は減少するし、床にモノがなくバリアフリーなので転んでしまう危険性も少なくなる。

 

 だが、果たして高齢者の住宅のリフォームは良いことばかりなのだろうか。

 

 親がその住宅に住んでいるのは何十年という単位である。昔からずっと住んでいるわけで、高齢になってから住み始めたわけではない。動線が悪かろうが床にモノが置かれていようが段差が多かろうが、元気に暮らしてきたし、今もそうである。むしろ、それらがあるからこそ元気でいられるのではないか。動線が悪いから必要以上に体力を使うし、床にモノがあることを認知してそれらを避ける動作も必要だ。さらに段差があることでバランス感覚も養っている。住宅の構造そのものがトレーニングになっているとも言える。

 

 さて、リフォームによってこれらのトレーニング環境がなくなってしまったらどうだろう。おそらく目に見える形で体力が衰えていくだろう。また、認知動作も減るのであるいは認知症になってしまうかもしれない。さらに、環境の変化も高齢になるほど適応しづらくなってくる。これも認知症になる要因の一つである。

 

 リフォーム番組では住宅が完成したところがゴールになっているが、住人にしてみればそこからがスタートである。ぜひともリフォームから1年後の住宅を取材してもらいたいものだが、そこに住む高齢者は以前にもまして老けこんでいることだろう。

 ※ただし、これは健康で自立した生活をしている高齢の親の場合であり、脳梗塞などの病気にかかってそれまでの生活を営めなくなった場合や介護が必要な場合は別である。また、住宅の老朽化が進んで倒壊する恐れがある場合も別である。